腎・肝・脾・脳 それぞれの働きとは?

中医学では、妊娠と関係があるのは肝・心・脾・腎、そして血のバランスが大切と考えられています。


腎、肝、脾、そして脳それぞれの働きとは?     

腎の機能。生殖、エネルギー、ホルモン管理    

「腎」は単に腎臓を指しているのではなく、誕生・成長・生殖・老化に至る一生の身体を調整している総称です。

これにホルモンも含まれます。
「腎」には生命のエネルギーが宿ると考えられており、出生時に親からもらうエネルギーを中医学では「先天の気」と呼んでいます。

(「肺」の呼吸作用と「胃」の消化吸収作用によるエネルギー=「後天の気」)
生殖活動をつかさどる「腎」は妊娠・出産に大事な役割を果たしています。

不妊や婦人科の悩みのある方は以下のような症状がありませんか?

腎虚のタイプ別症状、男性、女性。腎陽虚、腎陰虚、腎性不足

腎の機能が弱く、腎精が不足したり、陽気・陰液が不足すると、女性では胞宮(子宮)を養うことが出来ず、 男性では精液を産生出来ないため、不妊を引き起こしてしまいます。

肝の機能。疏泄、蔵血、血流関連



「肝」は、これも単に肝臓を指しているのではなく、体内に必要な血液を溜めておいたり、精神や情志活動・消化・ 血行や代謝機能をコントロールする働きの総称です。

「肝」の働きによって体内の血液の流れも順調に保たれ、 各臓器や器官に栄養が行き渡り、感情も安定します。妊娠するのに不可欠な器官である子宮や卵巣も、もちろん 栄養たっぷりで新鮮な血液が必要とします。


不妊や婦人科の悩みのある方は以下のような症状がありませんか?    


  肝気鬱結タイプ 症状

精神的ストレス・悩み・怒り・緊張などにより、肝気が滞ってスムーズに流れなくなってしまい、女性では気血が 滞って胞宮(子宮)が栄養を得られない、男性では腎精の生化が失調(つまり精子不足)となり、不妊をきたす状 態となります。

脾の機能。消化、老廃物の排出、後天の精の産生


「脾」には、食べ物の消化吸収を行う胃や小腸の働きを助ける他、体に必要な栄養物(後天の精)を全身に供給
する働きがあります。また、体内の水分の吸収と排泄を促進する働きがあり、「気・血・津液」全体の補充や運行
に欠かせません。体内に溜まった余分な痰湿=老廃物を体外に出す、つまり代謝に大きく関係します。

不妊や婦人科の悩みのある方は以下のような症状がありませんか?

痰湿タイプの症状。むくみ、肥満、生理周期が長い


脂っこいもの・味の濃いもの・甘いものの食べ過ぎなどで、脾胃の気が滞り、栄養の吸収や水分の循環・排泄が うまくいかなくなり、痰湿つまり老廃物が体内にたまります。

女性の場合は胞宮(子宮や卵巣)、男性なら精室とい った生殖器の気血の巡りを妨げることになり、結果として不妊を引き起こす原因になります。

脳の機能。中枢、精神情緒活動。脳と腎は深い関連→妊娠に作用


中医学の考え方では、脳の主な生理機能は精神思推を司る、つまり精神情緒活動の中枢とされます。
また、この働きは腎による精の生成や心から送られる血液が不可欠です。また、脳から腎や心へ与える影響 も無視できません。

腎は左右に2個ありますが、左腎は水(腎水)を管理、右腎は「命門の火」を管理すると考えられています。
「命門の火」は、五臓六腑の機能活動と、成長発育、および生殖のためのエネルギーとなります。 

 
また、腎は骨と髄の成長発育、脳とも深い関係にあります。
「腎は骨髄を生ず」「脳は髄の海」という古典の
言葉がありますが、これは腎が五臓六腑のエネルギーの源であり、骨や骨髄、脳の働きにも大きく関わって いるということを表しています。

心は血液を循環させ、水分や栄養を身体全体に行き渡らせる働きがあります。また、「心は神を蔵す」という
言葉の通り、人間の思考・精神活動を司ります。

 

脳から全身のコントロールイメージ    

   


脳は全身の生理機能をコントロールする中枢です。

強いストレスなどダメージを受けると、身体の各機関の働 きにも影響が出ます。

医学でいう経絡は身体内部で各臓腑につながっており、その臓腑から体表面に現れ ています。
そのうち背の中心を通る『督脈』、前の中心を通る『任脈』が婦人科のトラブルと特に深く関係があり ます。    

 

男性、女性不妊関連の経絡 画像参照:『鍼灸学』上海科学技術出版社


督脈は肛門から始まり、お尻から背、首、頭部、額と中心を通って鼻の下まで、一方任脈は会陰から始まり、
下腹部、胸、下唇の下まで伸びています。
この2本とも陰部から始まり、頭部までつながっています。
つまり、
脳の働きが鈍ると、胞宮(子宮)にも影響が表れるのです。
西洋医学でいえば、脳が何らかのストレスを受け
ることで、脳-下垂体-卵巣のコントロール系が崩れ、ホルモンバランスにも影響が出ることになり、結果とし て婦人科のお悩みにつながっていきます。

 


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