中国鍼は3000年以上歴史があり、長い臨床治療経験に基づいています。
中医学の古典「黄帝内経(こうていだいけい」に、”先ず、天の気の寒温、月の盛衰を知り、気の浮沈を伺う。そして身の異常を調整する”とあるように、古代より中国では、人間は自然環境や時間の影響が大きく受けると考えられてきました。
それらの影響によって変動する生体リズムの存在を経験的に理解し、その理論を占術・医学などにも応用してきました。
当院においても、自然の周期などで微妙に返答する生体リズムを大切に考えています。治療を行う際に、その時に人体の中で最も活性化している経穴を、年・月・日・時間などから算出して使用します。その方法は、子午流注取穴法と呼ばれています。
頭皮鍼法は別名「頭穴透刺治療」とも言い、頭部有髪部位にある脳の機能反射区に鍼を刺すことによって、全身疾病を治療する専門療法の一つです。
頭部の有髪部位は経絡の通っている場所で、ツボが分布し、気血の集まるところです。
この治療法は、中国伝統医学の3つの理論をもとに全身を治療します。
1.陰陽の調和や改善をはかることにより神経の興奮を抑制し、神経が抑制されている場合は刺激し、脳及び中枢神経機能失調状態を改善します。
2. 関連するつぼを鍼の透刺連結により、脳絡の流れを通します
3. 臓腑理論により、内臓機能調整作用があります。
本治療法は、適応範囲が広く安全かつ有効で、中枢麻痺、眼疾患、頑固な頭痛などに対して特に即効性があり効果が早く確実に現れ、そして副作用がないことが特徴です。
頭皮鍼法が専門療法として登場したのは、1950年代から1970年代の初頭です。
黄龍学編著『鍼灸新療法と生理作用』の中で、人の頭部と大脳皮質との関係が紹介され、院長小川も中国から引き続き、1998年頃、銀座にて治療・応用し始めました。
迎春堂鍼灸治療院では、これを内分泌・コントロール系機能低下の原因による排卵障害に対して応用しています。
つまり、脳-下垂体-卵巣間のフィードバック調整を図って生理不順の改善、不妊症に効果があげています。
系統・分類 | 適用疾患の例 |
神経系 | 神経痛・神経麻痺・筋肉痛・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー等 |
運動器系 | 関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頸肩こり・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)・各種スポーツ障害等 |
循環器系 | 心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ |
呼吸器系 | 気管支炎・喘息・風邪および予防等 |
消化器系 | 胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾・口内炎等 |
内分秘代謝系 | バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血等 |
泌尿器系 | 腎炎・膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・前立腺肥大・陰萎等 |
婦人科系 | 更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・のぼせ・つわり・血の道・不妊症等 |
耳鼻咽喉科系 | 中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・蓄膿症・咽喉頭炎・扁桃炎・声枯れ等 |
眼科系 | 眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい等 |
小児科系 | 小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善等 |